ヒメとヒコ

取材レポート&インタビュー

ヒメとヒコ10周年!今年度も新たなチームですでに始動開始。初めてのチャレンジャーも集まってきています!

ヒメヒコインタビュー ~チャレンジャーたちの声~
第一回 演出家・松永太郎さん(前編)

演出家・松永太郎

1974年鹿児島県曽於郡松山町(現:志布志市)生まれ
県立鹿屋高校~筑波大学を経て、沖縄に移住。2006年より故郷の鹿児島を中心に演出家として活動をはじめる。鹿児島や黒潮文化を題材としたミュージカル「ヒメとヒコ」や「ヤジロウと海乱鬼」、「えらぶ百合物語」などを手がける。2015年の第30回国民文化祭かごしま2015では、総合開閉会式やミュージカル「花戦さ」の演出を行う。

― 松永さん、今日はよろしくお願いします。直接松永さんからヒメヒコの思いを聞けて光栄です。かのやファンクラブの皆さんも、松永さんのインタビューを読めて楽しいと思います。

こちらこそよろしくお願いします。

― 早速なんですが、高校生によるミュージカル「ヒメとヒコ」制作のきっかけを教えて下さい。

僕は高校まで鹿屋にいて、卒業して13年ぐらい鹿屋から離れていたんですが、沖縄に長く住んでいて、そこで文化的なことをやりたいな、と目覚めました。というのも、沖縄では地元への愛を文化芸能を通じて感じている、と知って感動したからなんです。そこで、自分も地元で何かできないかと思っていたところ、鹿屋に帰ってきたら、街は様変わりしてるわけですね。ちょうどリナシティーができた年で、劇場があり・・・。 舞台に関係している仕事をしてきたので、その劇場で沖縄での経験を活かして何かしたいと思って、高校生のミュージカルという企画書を勝手に書き、勝手に送りました。

― 「高校生」によるミュージカルというアイデアはどこから生まれたのでしょうか。

自分が高校生の時に「なぜ自分はこんなところに生まれたんだろう」とネガティブに地元をとらえていて、もっとここじゃないどこかに行きたいという衝動がすごくあった。

関東の大学へ行き、また沖縄での交流の中で、自分が素敵だなと思う人は自分のルーツを非常に大事にしていて、それを語れると気付いたんです。それで、自分はどうなんだろうと思った時に、高校の時、逃げ出したいという逆の思いあったことを思い出して、じゃあ、そういう高校生という多感な時期に、じっくりと文化芸術を通して自分の地域とか地域の歴史とかに向き合うとどうなるんだろう、と。それに、高校時代に感動体験をしてくれたら、もし出て行ったとしても何らかの故郷(ふるさと)が残るんではないかと。自分が地元を一番好きでなかった高校時代、という意味で高校生にしました。

― 現役の高校生キャストということですね。

当初、卒業した高校生でもいいんじゃないかという提案も確かにあったんですが、ここはこだわって在学中の高校生だけにしてみようかな、と思ったんです。というのは、高校生であれば、毎回毎回メンバーが変わり、新しい出会いの中で一から作っていく。僕自身もずっとフレッシュでいられるのかな、と。

それに、卒業があるということで、区切りがあるということが大事だと思います。プロみたいな舞台はできないので、何で勝負するかというと、今まさに成長している姿ですよね。高校生のような。野球で言えば、プロ野球ではなく高校野球なので、ずっと長くいてプロを育てるということではなく、毎回毎回自分も新しい出会いの中で、多感な現役高校生と毎年毎年一から作っていきたいと。やっぱり自分がフレッシュでないと、舞台もいいものができないと思いますね。

― 毎年毎年、経験も違いますしね。

そうです。毎年同じメンバーだったら、同じ台本でいいんですけれど、この舞台は今を生きる地域の高校生の姿を演劇を通して見せるプロジェクトだと思っています。

― 毎年違うとはいえ、次に繋がっていきますね。精錬されていく。

前が作った伝統とか、評価があって、それに負けないように、とか、それを超えていこうとかいう目標があって後輩は頑張る。

自分も前より面白くなかったと言われたくないですので(笑)、毎回自分の作ったアイデアを一から壊すところは壊して、自分もフレッシュな気持ちでいる。

― それにしても10年継続はすごいですね。

自分もそんなに続くとは思ってもみなかった。

初めて募集をかけたとき、女子高の演劇部にご挨拶に行って、こういうことをしたいので協力してほしい、と頭を下げましたが、最初は5人。と僕一人。皆ぽかんとしてました。

最初は脚本すらできてなくて、じゃあ一緒に作ろう、って一緒に作った感じです。曲も一曲一曲増えていって。

― 最初は時間がかかったでしょうね。

それでも公演の日は決まっていたので、自分が言ったことだし、やるしかない、と。それにみんなよくついてきてくれましたよね。

― 入った高校生たちは演劇に興味ある子たちばかりだったのですか。

いや、そんなことないですよね。経験者もほとんどいないし。最近は、継続してこれたので、小学生の時に見て憧れて、という子も増えてきましたが。

― 「ミュージカル」という文化自体も、鹿屋で、高校生が、というのも画期的なことです。

そうです。好きも何も、それって何?って感じですよね(笑)

― 鹿屋は文化的な娯楽が少ないような気がするので、ものすごく期待しています。

お客さんも、ミュージカルのような文化を親しむというライフスタイルが増えていくといい。舞台だけでなく、他の文化も生活の中に取り入れていくと、豊かになりますね。

― 次に、今年10周年目のヒメヒコへの思いを聞かせて下さい。

今年は「原点回帰」と思っているんですよ。

ヒメヒコは島・沖縄の伝統文化に触れることで生まれた、大隅と奄美大島・南の島々との交流の話なんですけれども、より奄美大島の伝統芸能やその要素を、もう一度しっかり勉強してやりたいと思っています。1年目は、奄美の八月踊りとか、そういう伝統芸能を島の人に教えてもらうところから始めたんですが、今年はまたそれをもう一度やりたいな、と。

これまでは伝統芸能を現代風にアレンジしたりして、エンターテイメント性という意味では少しずつ精錬されてきたんですけれど、今年は逆に、それの根っこの部分とか本来の形とか意味合いとかに向き合って作っていきたいと思っています。

鹿児島市三和町地域(奄美大島から移住した方々が多い)には芸能倶楽部があってその練習に参加しながら、実際に島の人から芸事を教えてもらうだけでなく、そもそも島の、例えば「結(ゆい)」の精神を聞く。夏休みに高校生を連れて行こうと思っているんですけれど、実際にそうした地域の人と交流したりして、自分たちが演じていることとか、その意味合い、ルーツとかをちゃんと感じてもらえるところを意識的にしていきたいですね。

― では、今年の「ヒメヒコ」は演出が変わってくるかもしれませんね。

そうですね。おのずと変わっていくでしょうね。
またみんなで古墳を見に行かないと、とも思っています(笑)

― 「ヒメとヒコ」のまた違った演出が楽しみです。ところで歴史と言えば、鹿屋、大隅、奄美と、貴重な歴史の産物があるのに、なかなか見向きされない、認知されていないことが残念、もったいないと感じることがあります。

歴史とか文化を教科書で教えられるのではなく、身近に、演劇を通して若い子たちが感じてくれればと思いますね。面白いとか、すてきだ、かっこいいとか思ってもらえること、それがこういう文化芸能の一つの力だと思う。

― ヒメヒコの中で皆が叫ぶ「おおすみ大好き!」という言葉のように、この地域を好きで愛してくれたらと思いますね。

沖縄へ行って衝撃的なことはやっぱりそこだったんです。みんな「(地元を)好き、好き」って、そういう歌が多いし、好きなことが当たり前なんです。

自分がおおすみ大嫌いだったので(笑)。(無理やり?)「おおすみ大好き!」ってセリフ言うんですが、言うことで気持ちが変わるということがあると思うんですよね。

どちらかというと、こちらは「いやいや何もない所で・・・」と謙遜で言います。好きと言うこと自体なかなか誰にでも言えることではないのですが、皆が「好きだ、好きだ、すてきだ」と言えば、そうなっていくんですよね。まずは、自分たちが「大好きだ」というところから始めたいと思います。

― 鹿屋に帰ってこられる人とこられない人がいる中で、このミュージカルが、帰ってこられるための入口になれたらいいですね。高校時代の仲間は部活つながりはあるけれど、違う高校の子たちが一緒に文化活動をすることで、気持ちがそこにギュッと入る。成長して大人になってからも思いが強いですよね。

― 自分の高校の垣根を越えて友情がずっと続く。高校時代が楽しければ、帰ってくる機会も増える。

高校時代に何でもいいですが、涙を流すぐらいの感動体験があるかないかというのが、ものすごく大きいと思います。

― 全国的に高校生ミュージカルは無いですよね。学校ごとにはあるかもしれませんが。残念なのは、ヒメヒコミュージカルが、高校生の作品というだけで、高校の学芸会・学園祭の出し物みたいなものだと思われるところ。プロ顔負けの演技・歌唱力といっても過言ではないような気がしますが・・・。まず、情熱が違う。

特に3年生は、1年生からやっていて3年間の集大成ということで、区切りがありますから、これで終わりだという思いで、出てくるエネルギーが相当違います。

後編へ

次回(後編)は、キャスト選びのつらさやヒメヒコ卒業後の受け皿、ミュージカル「花戦さ」などについてのお話です。

お楽しみに!!

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